仮面ライダージオウNEXT TIME ゲイツ、マジェスティ
制作国:日本(2020年)
日本劇場公開日:2020年2月28日
上映時間:64分
監督:諸田敬
脚本:毛利亘宏
あらすじ:柔道でメダルを取ることを目指して練習に励むゲイツ、「王様になる」というふざけた夢を語るソウゴ、そしてゲイツがひそかに思いを寄せるツクヨミ。ごく普通の高校生として、それぞれが進路を決めようといた矢先、ゲイツは試合で大きな怪我を負ってしまう。選手生命を絶たれ、傷心のゲイツ。そんな彼の前に、ウォズと名乗る謎の青年が現れ……。(映画.comより)
【予告】Vシネクスト「仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ」
評価:★☆☆☆☆
◆感想(ネタバレなし)
『仮面ライダージオウ』のドラマは全体の3分の1ぐらいしか観ていないのですが、結末として主人公たちが仮面ライダーとしての記憶と力を失い、普通の高校生になったということは知っていました。後日談である今作はやはり一年間『ジオウ』の物語にしっかり付き合った人向けに作られているようで、細かい設定(特にウォズについての設定)を把握していな私にはわかりにくかったところも正直ありました。
ただこういう私の無知は別にしても、今作の脚本はあまり出来が良いとは言えないと思います。『ジオウ』はドラマで主人公たちがヒーローだった記憶を失うという、割としっかりした完結を迎えてしまった作品です。それに対して「単発の続編」というハードルの高さを超えられなかった感は否めません。
余談ですが本作を私は日曜日に鑑賞したのですが、コロナウイルスの影響で割と閑散とした劇場で観ることになりました。観に来ていた人もいわゆる「大きなお友達」で子供の数はとても少なかったです。やはりこのタイプの作品はたくさん子供がいる中で観るのが楽しいので、そういった意味でもちょっと残念な鑑賞になってしまいました。
*以下ネタバレです。
◆ネタバレ
白ウォズはゲイツが救世主になる存在であると告げる。最初は救世主になることを拒んでいたゲイツだが、ソウゴとツクヨミがピンチに陥ったときに救世主になることを受け入れ仮面ライダーに変身する。しかし、その直後白ウォズは突如として自身が救世主であると名乗りアナザーディエンドに変身し、ゲイツ達に襲い掛かてくる。ゲイツ達は海東に救われる。海東はディエンドの力を白ウォズに奪われてしまい、ウォズと協力して力を取り戻そうとしていた。ゲイツは海東の助けを借りてアナザーディエンドを撃破。白ウォズはウォズに取り込まれて消滅した。
◆感想(ネタバレあり)
一番気になったのはゲイツの「柔道で頂点を目指す」という夢が絶たれてしまう展開の回収の仕方です。結局「柔道で強くなりたいという夢はそもそも無かった」というのが今作の落としどころなのですが、これはいくらなんでも作劇としてお粗末な気がします。
また、ゲイツの「柔道で頂点を目指す」という夢に対する姿勢が真摯であるほど、どうしてもソウゴの「王様になる」という夢のいい加減さが際立ってしまうのも気になりました。
この2つの点については作り手側にも自覚があったのか、セルフつっこみ的なセリフみあるのですが、フォローしきれていないなと思ったり…。
あと、ゲストライダーの扱いも少し気になりました。カイザとディエンドはオリジナルキャストが演じているにも関わらず変身シーンがないのは、Vシネマの予算やスケジュール上難しかったのかもしれませんが、ファンサービスとしては寂しい気がします。また、カイザ(草加)の描写は気になりました。草加って今作で描かれるようなヒロイックな人じゃなかったような気がします。
東映ヒーローの作品の脚本に粗があるのは昔からそうなので、だいたいいつもこんなものと言われてしまえばそれまでなのですが、『ジオウ』に関しては夏の劇場版は脚本が良かったと思いますし、クロスオーバーという点でも先の『リュウソウジャーvsルパパト』は良かったので、実は今作は結構期待をしていました。それだけにより一層残念な気持ちです。
ただ、繰り返しになりますがテレビドラマ版の終わり方からして今作は相当難産だったのだろうなとは思います。これで『ジオウ』の締めくくりとしては少し寂しい気がするので、是非『仮面ライダーウォズ』を作って欲しいと思いました。ウォズは一人記憶を失うことなくソウゴ達を見守っているので、続編としてのお話も作りやすい気がします。
★まとめ
・脚本に難がある。テレビドラマ版の終わり方からの続編を作るのが難しかったのがうかがえる。