潜水服は蛾の夢を見る

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劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー

【映画パンフレット】劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー 魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO

制作国:日本(2020年)

日本劇場公開日:2020年2月8日

上映時間:

監督:渡辺勝也

脚本:香村純子、荒川稔久

出演:一ノ瀬楓、綱啓永 他

あらすじ:ギャングラーの残党「ガニマ」により、ティラミーゴたち騎士竜が金庫に閉じ込められてしまい、リュウソウジャーたちは騎士竜を助け出すために戦う。ガニマを追うバンバとトワの前には国際警察の圭一郎が現れ、戦いで傷ついたコウには魁利が快盗として協力する。捕らわれた騎士竜たちに危機が迫る中、リュウソウジャー、ルパンレンジャー、パトレンジャーという3つの戦隊が期せずして出会う。(映画.comより)

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評価:★★★★★

 

◆感想(ネタバレなし)

例年恒例の一つ前のスーパー戦隊と現行のスーパー戦隊のクロスオーバー作品です。私の両戦隊の知識はかなり偏りがあって一つ前の『ルパンレンジャーvsパトレンジャー』はテレビドラマも劇場版もちゃんと観ていたのですが、現行の『リュウソウジャー』はテレビドラマは一話も観たことがなく夏の劇場版のみの鑑賞でした。

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今作に関してはかなり出来が良かったというのが私の率直な感想です。スーパー戦隊の『VSシリーズ』に求められるのは、(1)懐かしい一つ前の戦隊のメンバーの活躍(2)ここでしか観られない現行のメンバーと前作のメンバーの新鮮なやり取り、の大きく2点なのではないかと個人的には思うのですが、今作はかなりその2点をしっかり描いていたと思います。

 

また、今作の特に評価の高いポイントは各戦隊のレッド以外のキャラクターにもしっかりスポットが当たるというところだと思います。これは脚本に『ルパパト』側から香山純子、『リュウソウジャー』側から荒川稔久とそれぞれの戦隊の脚本に携わった方を起用したことが大きかったのではないでしょうか。前述の通り私は『リュウソウジャー』をあまり観たことがなかったのですが、そんな私でもそれぞれのキャラクターがどんな人なのかわかるように出来ていて楽しめました。

*以下ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

ガニマはティラミーゴの力を使いステイタスゴールドに進化。金庫開けるには10個のダイヤルファイタ-が必要になってしまい、ルパンレンジャーの手持ちでは足りなくなってしまう。リュウソウジャーは騎士竜ごとガニマを倒す悲壮な覚悟を決めるが、ノエルが「はじまりのリュウソウル」にルパンレンジャーの力を注入し、コウ、メルト、アスナの3人が追加のルパンレンジャーに変身。ダイヤルファイターの数が増えたため金庫開けて騎士竜を助け出すことに成功し、3戦隊の共同攻撃でガニマは倒される。

 

◆感想(ネタバレあり)

両戦隊のメンバーが全員顔を合わせるのは最終決戦のみで、序盤は<魁利、コウ><圭一郎、咲也、トワ、バンバ><ノエル、メルト、アスナ><つかさ、透真、カナロ><初美花、オト>の5組に分かれています。この5組の中でしっかり各キャラクター同士の絡みがあるので、ネタバレなしの感想で述べた旧戦隊と現行戦隊の新鮮なやり取りを存分に楽しむことが出来ます。

 

私の目当てだった『ルパパト』のキャラクター達はメインライターだった香村純子が脚本を書いていることもあってか、当時のイメージをそのままに描かれています。圭一郎と魁利の互いの決意を確かめ合う歩道橋のシーン、つかさと透真の緊張感と思いやりの合わさった会話シーン、咲也と初美花のラブコメ展開、ノエルのパルクールなどお馴染みのシーンがしっかり入っていてファンサービスにぬかりありません。特にノエルの自己紹介をしながらのパルクールシーンは、今作で恐らく最も長い1カットで撮られていて、ノエルを演じる元木聖也の身体能力の高さを堪能できます。作り手のどうしてもこれをやりたかったという思いが伝わってきました(笑)

 

また。単になつかしさを喚起するだけでなく先輩の戦隊としてそれぞれのやり方でリュウソウジャーを支える姿も見せてくれます。感心したのはリュウソウジャーが「正義のために騎士竜ごとガニマを倒す覚悟」を決めたことに対する魁利と圭一郎の反応です。魁利は正義のために愛するものを犠牲にして良いのかとコウに直球を投げかかけます。元々は兄を救うためにルパンレンジャーになったので正義に捕らわれる必要は無いキャラクターですから、こうした問いかけをするのに適任です。一方の圭一郎は「騎士竜を救う手立てが手に入るまで世界を守り続ける覚悟」を静かに決めます。警察官の彼にとっては、リュウソウジャーの騎士竜に対する思いも含めて守ることが正義だからです。どちらも『ルパパト』本編の展開が活かされたこの二人らしい反応だと思います。

 

物語の展開として、この後結局リュウソウジャーたちは一度決めた決意を翻して騎士竜を救うことを選びます。普通こういうことをすると単にヒーローとされている人達が日和ったように見えてしまうのですが、今作の場合は先輩ヒーローの魁利と圭一郎が先立って「騎士竜ごとガニマを倒す」とは違う正義を表明しているため、リュウソウジャーたちが先輩ヒーローと同じ境地に至ったように見えるという効果があったように思います。

 

本作ついては大満足なのですが、ちょっと気になったのは「スーパー戦隊MOVIEパーティ」の構成です。トータルで90分ぐらいの上映時間だったと思うのですが、体感的には結構長く感じました。二本立てという点では夏の戦隊とライダーの映画と一緒なはずなのですが、これは恐らくメインの『騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』が終わった後に、明らかにおまけ感のある『キラメイジャー』が続くためでしょう。 しかも『キラメイジャー』が終わって、終わりかな、と思ったタイミングでプリキュアとキラメイジャーのダンスが始まり、それも終わりかな、と思ったタイミングでプリキュアリュウソウジャーのダンスが始まり、それも終わりかな、と思ったらプリキュアの予告編が始まるという(笑)蛇足に次ぐ蛇足感は否めなかったです。結構終映後にぐったりしている子供の姿が目についたので、この構成は考え直して欲しいと思いました。個人的にはリュウソウジャーのダンスはルパパトメンバーと一緒に『騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』のエンディングで踊って欲しかったなと。

 

ただ繰り返しになりますが『騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』はとても良い出来でした。リュウソウジャーを観ていない私でもここまで楽しめたので、ちゃんとリュウソウジャーを観ていた方ならより一層楽しめると思います。

 

◆まとめ

・各戦隊のレッド以外のキャラクターにも焦点が当たっている

・新旧の戦隊の絡みがしっかり描かれている

・ルパパトの描かれ方が良い。