潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

スペシャルアクターズ

スペシャルアクターズ

制作国:日本(2019)

上映時間:109分

監督:上田慎一郎

脚本:上田慎一郎

撮影:曽根剛

出演:大野数人、河野宏紀 他

あらすじ:役者としてまったく芽が出ない和人は数年ぶりに再会した弟から俳優事務所「スペシャル・アクターズ」に誘われる。その事務所は映画やドラマといった仕事以外に、日常で演じることを要求される仕事も請け負う、何でも屋的な側面を持っていた。そんな中、カルト集団から旅館を守ってほしいという依頼がスペアクに飛び込んでくる。スペアクの役者たちは、旅館乗っ取りをもくろむ集団への対策のために計画を練り、演技の練習を重ねていく。和人はこのミッションの中心メンバーとなるが、彼には誰にも話していない秘密があった。それは緊張が極限まで達すると気絶してしまうというものだった。


映画『スペシャルアクターズ』予告 10月18日(金)全国公開

 

評価:★★★☆☆

 

◆感想(ネタバレなし)

カメラを止めるな!』で一躍注目を集めるようになった上田監督の作品ということで、かなり期待して観ました。(『カメラを止めるな!』の感想は↓)

ameblo.jp

結論から言えば、一定以上面白い作品ではありましたが『カメラを止めるな!』ほどの衝撃はありませんでした。上田監督は三谷幸喜の作品が好きだそうですが、今作はなんだか三谷作品の悪いところが似てしまった気がします。

*以下ネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

スペシャルアクターズの活躍によってカルト教団は逮捕される。数日後オーディションに合格した和人は弟が逮捕されたはずのカルト教団の人々と会っているのを目撃する。実は今回の一連の騒動は全て弟が和人の治療を目的にしたスペシャルアクターズへの依頼だった。

 

◆感想(ネタバレあり)

今作の大きな問題は、主人公の和人が切実に役者になりたいと思っているように見えないというところにあると思います。今作の和人の描き方では役者というよりスーパーヒーローに憧れる人にしか見えませんでした。また、リラックス効果を高めるためにおっぱいに感触の似たゴムボールを握っているというのも、どこまで主人公が真剣に自分の症状を治したいと思っているのかがぼやけてしまう設定だったと思いました。この主人公の切実さが伝わりにくいというのは、三谷作品でも見受けられる良く無い点で今作は悪いところが似てしまった気がします。

dreamofmoth.hatenablog.com

もちろんこの軽さがお話全体の軽さに繋がっているので悪いことばかりではないのですが、ラストで彼がオーディションを勝ち上がったことにカタルシスが乏しいことにもつながっていたような気がします。

 

今作も『カメラを止めるな!』も作り手による作り手のための映画という側面が強いので、自作は作り手の行動が作り手ではない人に波及していくような作品が観たい気がします。

 

◆まとめ

・一定以上のおもしろさはある

・主人公の切実さが伝わりにくいのが難点