潜水服は蛾の夢を見る

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トッキュウジャー 考察③ 手を繋ぐシャドーライン

『トッキュウジャー』のメインライターは多くの東映特撮作品を手掛けた小林靖子さんです。その小林さんが『トッキュウジャー』一つ前にメインライターを務めた『仮面ライダーオーズ』では「手を取る」という行為が非常に重要な意味を持っていました。

 

このモチーフはトッキュウジャーにも受け継がれているようで、第23駅のタイトルはもろに『手と手をつないで』というもの。この話の中では烈車が連結する映像とトッキュウジャー6人が手をつなぐのがカットバックされるという場面が出てきます。

 

ただ、「手を取る」という行為が文字通りクローズアップされるのは、トッキュウジャー側ではなくシャドーラインのグリッタとシュバルツです。二人が互いの手を取るところがアップになる場面は都合3回あります。

 

1回目は第6駅『探し物は何ですか』で、トッキュウジャーとの戦いに敗れてキャッスルターミナルに戻ったシュバルツをグリッタが迎える場面です。この時はグリッタがシュバルツの手を握るのですが、その手をシュバルツが引き離してしまいます。2回目は上述の第23駅『手と手をつないで』です。この時もグリッタがシュバルツに手を伸ばしますが、グリッタの身体からゼットが復活したため手を取ることが出来ずにおわってしまいます。3回目は第41駅の『クリスマス大決戦』です。このときはシュバルツがグリッタの手を取ります。グリッタとしては初めて憧れのシュバルツに手を取ってもらえたわけですが、その直後にシュバルツはゼットに殺されてしまいます。

 

シュバルツは死に際に”私はキラキラを手に入れた”と言うのですが、「他者の手を取る」ことができる人というのは、今作における「キラキラを手に入れた人」として扱われている気がします。最終話ではネロ男爵とモルク侯爵がゼットの手を取るシーンがあるのですが、この時ゼットが二人に向けて”この期に及んでキラキラするじゃねぇ”というセリフを言っています。また、テレビ本編ではありませんが小林靖子が脚本を手掛けたファイナルライブツアーではゼットがグリッタの手を取る場面があり、それを見ていたライトのセリフからゼットもキラキラを手に入れたことが示唆されます。

 

小林靖子さんがまた東映の作品でメインライターを務める機会があるのかはわかりませんが、その時にはこの「手を取る」という行為に着目して観ていると面白いかもしれません。