潜水服は蛾の夢を見る

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坂道のアポロン

坂道のアポロン

制作国:日本

劇場公開日:2018年3月10日

上映時間:120分

監督:三木孝浩

脚本:高橋泉

撮影:小宮山充

出演:知念侑李 中川大志 他

あらすじ:医師として忙しい毎日を送る西見薫のデスクに飾られた1枚の写真。そこには笑顔の3人の高校生が写っていた。10年前の夏、薫は転校先の高校で誰もが恐れる不良である川渕千太郎と運命的な出会いを果たす。ジャズのドラムを叩く千太郎と、幼いころからピアノを弾いていた薫は音楽でつながり、千太郎の幼なじみの迎律子を交えた3人で過ごす日々の中、薫は律子に恋心を抱くようになっていた。しかし、律子が恋焦がれるのは千太郎であることを薫は知ってしまう。三角関係に思い悩みながらも、千太郎とのセッションを楽しむ薫だったが、そんなある日、千太郎が薫と律子の前から突然姿を消してしまう。(映画.com)


「坂道のアポロン」予告編

 

評価:★★★★☆

 

◆感想(ネタバレなし)

今作の三木孝浩監督は青春恋愛映画中心に撮っている監督です。今作の主題は薫(知念侑李)と千太郎(中川大志)の友情ですが、唯一無二の存在としてお互いを必要としあう≒男同士の恋愛に近い描かれ方をしていて、三木監督が撮るのも納得でした。

 

漫画原作の青春映画としては割と出来のいい作品ではないかと思います。ものすごく真新しいことをやっているわけではないですが、やるべきことをきっちりやった作品という印象を受けました。

*以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

薫(知念侑李)と千太郎(中川大志)と律子(小松菜奈)は3人で海に遊びに行く。そこで千太郎は美大生の百合香(真野恵里菜)と出会う。百合香は千太郎が兄のように慕うトランペット奏者の淳一(ディーン・フジオカ)の彼女であり、薫はそのことに気づくが千太郎に言い出せずにいた。ある時、千太郎は淳一と百合香の関係性に気づき、教えてくれなかった薫と喧嘩になってしまう。しかし、文化祭でのセッションをきっかけに二人は絆を取り戻す。薫と千太郎は教会でのクリスマスコンサートで演奏をすることになる。そこには律子もボーカルとして加わることになった。ところが、当日千太郎が律子をバイクに乗せて走っている最中に事故にあってしまう。2人とも一命を取り留めたが、罪悪感を感じた千太郎は肌身離さず持っていたロザリオを残して姿を消してしまう。10年後、夫婦となった淳一と百合香に再会した薫は千太郎が神父となったことを知り、律子と共に千太郎に会いに行く。再会した3人はあの時出来なかったセッションを始める。

 

◆感想(ネタバレあり)

ジャズを題材にした映画なので当たり前ですが音楽を奏でるシーンが多く、その中でも文化祭で薫と千太郎がセッションをするところがベタだけど上がるシーンでした。その後、手をつないで走り出すシーンはもう完全に恋人同士の描き方だったと思います(笑)。この文化祭の場面で初めて二人だけでセッションをするというお話の構成も粋だったと思いました。最後の3人でのセッションで、律子が歌いだすために大きく息を吸い込んだところで暗転してエンドロールという切れ味も個人的には好みでした。

 

残念だったのは、お話のテーマなので半ばしょうがないところもあるとはいえ、薫と千太郎のセッションを観て律子が目を潤ませるという展開が、文化祭と最後の教会での場面とで割と短時間の間に2回立て続いてしまうところです。これはちょっとくどさを感じてしまいました。それからその手前の、薫と律子が乗っている船を表すシーンがどう観ても静止画なのはこの映画の予算事情が透けて見えてしまう思いでした(笑)。

 

ただ、漫画原作の青春映画という、いわゆる映画好きの人でも敬遠しがちなこのジャンルでここまでのことが出来ていれば十分いい作品だと思います。

 

◆まとめ

・ものすごく真新しいことをやっているわけではないが、やるべきことをきっちりやった作品