潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

思い、思われ、ふり、ふられ

実写映画ノベライズ 思い、思われ、ふり、ふられ (集英社オレンジ文庫)

制作国:日本(2020年)

劇場公開日:2020年8月14日

上映時間124分

監督:三木孝浩

脚本:三木孝浩、米内山陽子

撮影:柳田裕男

出演:浜辺美波北村匠海 他

あらすじ:恋愛には積極的で社交的だが不器用な性格の朱里。夢見がちで恋愛には消極的、自分に自信が持てない由奈。そして、朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。同じ学校に通う高校1年生の4人は同じマンションに暮らしていた。憧れ、片思い、ある秘密……4人の四者四様のさまざまな思いがすれ違いながら交差していく。(映画.com)


映画『思い、思われ、ふり、ふられ』予告【8月14日(金)公開】

 

評価:★★★★☆

 

◆感想(ネタバレなし)

漫画原作の青春恋愛映画は映画の中でもちょっと風下に置かれているジャンルだと思います。映画好きな人でもこのジャンルだけは観ないという人が一定数はいるのではないでしょうか。まあ、実際あんまりいい映画が無いのも事実だと思うのですが…、だからこそたまに思わぬいい作品に出会うと嬉しくなるのもこのジャンルです。個人的には今作はその嬉しくなる映画でした(もちろんある程度このジャンルを好む嗜好性は鑑賞の際に求められますが)。三木監督は『坂道のアポロン』も良かったので私の中で結構信頼が増した感じです。

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この作品の魅力の大部分はキャストの魅力だと思います。浜辺美波北村匠海は『君の膵臓を食べたい』でもそうでしたが、割とアンリアルな設定の登場人物にちゃんと肩入れしたくなる存在感を与えていて、改めて上手いんだなと思いました。

 

その二人と共に事実上の主人公を演じるのは福本莉子赤楚衛二です。

 

福本莉子は↓の舞台挨拶の動画を見るとここまで大きな役は初めてのようですが、そのちょっと心元無い感じが由奈の役柄とマッチしていて良かったと思います。余談ですが彼女のフィルモグラフィを調べてみると実は浜辺美波が出演している作品に出ていることが多いんですね。それぞれの作品を未見なのでどんな役なのかはわからないのですが『センセイ君主』『屍人荘の殺人』来月公開の『映像研には手を出すな!』の3作にも出ています。事務所も同じなのでバーターなのかな?なんて意地悪な想像もしてしまいましたが、ちゃんと彼女の魅力で浜辺美波北村匠海に食われない存在感を放っていたと思います。


浜辺美波、浴衣姿でリモートイベント 北村匠海と「大人になったね」と思い出話も 映画「思い、思われ、ふり、ふられ」イベント

 

赤楚衛二東映特撮ファンの人には『仮面ライダービルド』の万丈の役で知られているかと思います。私は正直そんなに熱心に『ビルド』を観ていたわけではないのですが、やっぱり東映特撮から大きな作品の主演に上がってくる役者さんがいると嬉しいですね。これも余談ですが↓の動画を見ると浜辺美波は『仮面ライダービルド』を見ていたようですね。

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彼の演じた和臣は本当にザ・いい奴で、この役も下手にやると欺瞞に満ちたキャラクターになってしまうところだと思うのですが、上手に体現出来ていたと思います。

*以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

由奈は理央が朱里に思いを寄せていることを知りつつ、新しい一歩を踏み出すために理央に告白して振られる。理央は朱里が和臣と親しくなっていくのを見て、勢いで朱里にキスしてしまい朱里から拒絶されてしまう。仲裁に入った由奈から、朱里が家族の平穏を守るためにしてきた努力を聞かされた理央は、朱里に対する執着が薄れて、次第に由奈に思いを寄せていく。朱里は和臣に告白するが、理央が朱里とキスしているところを見てしまっていた和臣は自分の気持ちを封じ込めて朱里の告白を拒んでしまう。文化祭の日、理央は由奈に告白し二人は付き合うことになる。和臣はその場に居合わせ、理央の意中の相手が朱里ではないことを知る。自分が映画に携わる仕事がしたいということを親に認めてもらえそうにないことで和臣は苦悩していたが、朱里に背中を押される。和臣は朱里を呼び出して告白し二人は付き合うことになる。

 

◆感想(ネタバレあり)

今作の主題歌はofficial髭男dismの『115万キロフィルム』ですが、これは和臣から朱里への歌と解釈できる曲になっています。作品とマッチしていてとても良い主題歌だと思いました。


映画主題歌「115万キロのフィルム」特別映像(和臣ver.)『思い、思われ、ふり、ふられ』《8月14日(金)公開》

 

良かったところは概ねネタバレなしのところに書いた通りなので、ちょっとだけ気になったところを挙げておきたいと思います。まず、特に由奈について、モノローグが多すぎたような気がします。そこまで言わなくてもわかるのにな…というところが何ヶ所かありました。役者さんの演技が良かっただけにここはもったいなかったと思います。

 

物語の90分ぐらいのところで理央が由奈に告白しこの二人の物語は完結し、残り30分は朱里と和臣がそれぞれの家族との関係性にケジメをつけるということに割かれるのですが、この30分はちょっと間延びした印象がありました。もうちょっとタイトな方が個人的には好みでした

 

後本当に細かい(そして割とどうでもいい)ところなのですが、冒頭で和臣が由奈にDVDを貸す場面で『君の膵臓を食べたい』を貸していたら物凄く洒落が効いていたなと(笑)。エンドロールを見るとこのとき貸していたのは『世界の中心で、愛を叫ぶ』だったみたいですね。

 

◆まとめ

・役者さんの魅力に満ちている映画

・主題歌が作品と合っていてとても良い