劇場版 呪術廻戦 0
制作国:日本(2021)
日本公開日:2021年12月24日
上映時間:105分
監督:朴性厚
脚本:瀬古浩司
美術監督:東潤一
あらすじ:高校生の乙骨憂太は、幼い頃、結婚を約束した幼なじみの祈本里香を交通事故により目の前で亡くしていた。それ以来、呪霊化した里香に取り憑かれるようになった乙骨は、暴走する彼女に周囲の人々を傷つけられ苦悩していた。そんな中、呪霊を祓う“呪術師”を育成する教育機関・東京都立呪術高等専門学校の教師にして最強の呪術師・五条悟に導かれ、乙骨は同校に転入することに。自身の手で里香の呪いを解くことを決意した乙骨は、同級生の禪院真希や狗巻棘、パンダと共に呪術師として歩みだすが……。共に呪術師として歩みだすが……。(映画.comより)
評価:★★★★☆
◆感想(ネタバレなし)
漫画もアニメも未見の状態で観に行ったのですがおもしろかったです。私のような完全ビギナーでも世界観や各キャラクターの考え方などがわかりやすい造りになっています。調べてみると今作の原作『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』は本編の連載前に発表されていたものだそうで、ビギナーに優しい造りなのも納得でした。同じような大ヒットアニメの劇場版である『鬼滅の刃 無限列車編』は明らかに何かの話の途中から始まって、途中で終わる感じがしましたが、今作は原作が元々それ単体で作られたこともあってか、きっちりと一本で完結している感があります。
*以下ネタバレです。
◆ネタバレ
五条のかつて学友、夏油傑が新宿と京都で大規模虐殺「百鬼夜行」を行う。五条たちは夏油を阻止するために呪術師を両地へ派遣するが、それは呪術高専にいる乙骨周辺の呪術師を手薄にするための罠だった。乙骨を守ろうとした真希、狗巻、パンダは夏油によって重症を負ってしまう。乙骨は里香の力を借りて夏油を倒すことに成功する。乙骨は菅原道真の血を引く協力な呪力の持ち主で、呪霊化した里香に取り憑かれていたわけではなく、乙骨が里香に呪いをかけていたことがわかる。呪いが解かれた里香はあの世へと旅立つ。
◆感想(ネタバレあり)
多くの方が連想したと思いますが、話の造りが『ハリー・ポッター』とよく似ています。生まれついて特別な力を持つ主人公が、自分の力が受け容れられる世界を知って居場所を見つけて活躍するというのは、完全に『ハリー・ポッター』と同じです。しかもその居場所が学校であるというのも共通していますし、ヴィランである夏油の思想も『ハリーポッター』のヴィランのヴォルデモートと同じような思想です。
『ハリーポッター』より巧いと思ったのが、ヴィラン側がなぜそういう思想を持つのかということもちゃんと暗示されているということです。ヴィランが単に記号的な悪ではなく、彼らには彼らの切実さがあることまで描くあたりは凄く今日的なエンターテイメントとだと思いました。
細かいところですが、かつて五条と夏油が友人だったということが、単なる説明だけではなく「若い呪術師のことは大事に考えてる」という共通した行動を見せることによって示せているというのが巧いと思いました。これによって思想としては近いところもあるのに決定的に決裂してしまった切なさも、ミニマムな描写で表現できていると思いました。
◆まとめ
・前知識無しでも楽しめる
・話の造りが『ハリー・ポッター』にそっくり