潜水服は蛾の夢を見る

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マンダロリアン シーズン1、2

The Mandalorian: Season 2 - Vol. 2 (Chapters 13-16) (Original Score)

制作国:アメリカ(2018)

日本公開日:シーズン1 2019年12月16日、シーズン2 2020年10月30日

監督:デイブ・フィロ―ニ、ジョン・ファブロー 他

脚本:デイブ・フィロ―ニ、ジョン・ファブロー 他

出演:ペドロ・パスカル 他

あらすじ:銀河帝国の崩壊後、銀河系には無法地帯が広がっていた。一匹狼のガンファイターが、賞金稼ぎとして報酬を得ながら、そのアウター・リムをさまよっていく。(Disney+ホームページより)


The Mandalorian | Official Trailer | Disney+ | Streaming Nov. 12

 

評価:★★★★★

 

◆感想(ネタバレなし)

↓いろんなところで大好評のマンダロリアンですが、本当にめちゃくちゃおもしろかったです。1話約30分と非常に見やすい尺で、かつしっかりと満足させてくれるクオリティがあります。ストーリー、アクション、美術、どれも素晴らしいです。

cinemandrake.com


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正直に言ってスターウォーズでもうおもしろい作品にで出会うことはないのではないかと思っていました。直近のシークエル3部作の出来がいくらなんでも悪過ぎたからです。個々の作品のクオリティというより、この三部作全体の構成が明らかにまとまっていない中で企画が進んでしまった感じがダダ洩れになっていることに私は非常にがっかりしました。スターウォーズというコンテンツなら適当に作ってもお金儲けが出来る、そんな思惑の基に作られてしまった作品のように思えてならなかったのです。その点今作は、名監督ジョン・ファブローと『クローン・ウォーズ』を成功させたデイブ・フィローニがしっかりと作品の方向性をコントロールしていると感じられます。キャラクターの描き方も丁寧で作り手の作品に対する真摯さがシークエルとは段違いです。ちなみに制作総指揮にはこの二人に加えてシークエルのプロデューサーだったキャサリンケネディも名を連ねています。流石はスターウォーズ。制作総指揮もライトサイドとダークサイドでバランスを取ってきます。頼むからキャサリンケネディはもう余計なことしないでくれ…。

 

シークエルが酷評されがちなので目立ちませんが、プリクエル3部作でのアナキンが暗黒面に落ちる流れだって、結構無理があって褒められたものではありませんでした。そういう意味では、本当に久しぶりにスターウォーズで傑作と言える作品が出来たと思います。個人的にはエピソード4、5、6さえも超えてマンダロリアンはおもしろいと思いました。

dreamofmoth.hatenablog.com

 

*以下ネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

賞金稼ぎのマンドーは高額の懸賞金がかかった案件を引き受けるが、そのターゲットがまだ幼い子供であることを知るとその子供を保護し、子供の仲間ともくされる″ジェダイ”を探す旅に出る。賞金稼ぎのギルドの規範に反する行為をしたマンドーと子供は、他の賞金稼ぎから追われる。子供に賞金を懸けた依頼主は死亡したが、その依頼主の背後にいた黒幕である帝国のモフ・ギデオンが子供を追ってくる。マンドーは旅の道中で仲間となったグリーフ・カルガ、キャラ・デューンらとどもにモフ・ギデオンを撃退するが、モフ・ギデオンは死んでいなかった(シーズン1)

旅の中で別のマンダロリアン、ボ=カターンと出会う。ボ=カターンはモフ・ギデオンから彼女の所有物だったダークセイバーを取り戻そうとしていた。マンドーは、彼女からジェダイアソーカ・タノを紹介される。アソーカはフォースを介して子供と交流し、子供の名前がグローグーであることが判明する。しかし、アソーカは自身がグローグーを訓練することを拒み、グローグーをフォースと強い関係を持つ惑星タイソンに連れていくように助言する。タイソンでグローグーはフォースを使って他のジェダイに自身の存在を示す。しかし、その最中に帝国の襲撃を受けてしまう。その場に居合わせたボバ・フェットとフェネックと共に帝国軍に応戦するが、グローグーはモフ・ギデオンの元に誘拐される。フェネック、ボ=カターンらの協力を得て、マンドーはスターデストロイヤーに潜入する。モフ・ギデオンを倒して、ダークセイバーとグローグーを奪還するが、強力なダークトルーパーに包囲されてしまう。そこにジェダイルーク・スカイウォーカーが現れ、一行を救出する。マンドーはグローグーに別れを告げ、グローグーをルークに預ける。(シーズン2)

 

◆感想(ネタバレあり)

シーズン1の1-2話を観ただけでぐっとこの世界に引き込まれました。主人公マンドーは常にマスクをしているので、表情なしでセリフと行動だけでキャラクターを表現する必要があるわけでですが、この冒頭2話で基本的には一匹狼で冷徹な一面もありながら、同時に非常に義理堅い人物でもあるという彼の在り方を過不足無く表現出来ていると思いました。個人的には2話でマンドーがクイールに対して言う″どうか謝礼を受け取って欲しい”というセリフが非常に効いていると感じます。

 

「仮面をしている父親」というキャラクターは明らかにダース・ベイダーを意識したものだと思われますが、ベイダーとルークとは全く異なる親子関係を築いていくお話になっているのも面白いところだと思います。

 

DIsney+で観ることが出来るシーズン2のメイキングで、デイブ・フィローニが″懐かしいセットやキャラクターを再現するのは主眼じゃない。それを活かし創作することが魔法なんだ”と述べていますが、まさにその通りで、新しくて面白いものが創れているという、当たり前の(だけど難しい)ことがちゃんと出来ていることがこのシリーズは素晴らしさだと思います。私は海外のファンのリアクション動画を見るのが好きなのですが、下のシーズン2の最終話のリアクション動画を観ていると、ルークが出てくる場面でも確かにみんな興奮しているのですが、一番感情を揺さぶられているのはその後のマンドーとグローグーが別れる場面なのが観てとれます。つまり単発的で懐古的な描写よりも、このシリーズを通して積み上げられてきたものに対しての方がより感動を呼んだということなわけで、それは一つの作品として極めて健全なことだと思いますし、前述のようなコメントをしているフィローニからしても我が意を得たりといった感じなのではないでしょうか。


Fans React to The Mandalorian Chapter 16: "The Rescue"

 

シーズン3も作られるようですが、キャラ・デューンを演じたジーナ・カラーノは降板が決定しているとのことです。フェネックは恐らく『ザ・ブック・オブ・ボバ・フェット』の方に移行するでしょうから、今後今作のヒロイン的なポジションはボ=カターンが担っていくことになるのではないかと思います。『マンダロリアン』というタイトルからしても、マンドーがダークセイバーを持っているという話の展開からしてもボ=カターンの活躍が増えていくというのは自然な流れなのではないでしょうか。余談ですが、ボ=カターンを演じたケイティ・サッコフという役者さんは、アニメの『クローン・ウォーズ』『反乱者たち』でもボ=カターンの声を担当していた方なのだそうです。実写でもこんなに近い相貌になる人が担当していたなんてほとんど奇跡的なことです。『クローン・ウォーズ』でボ=カターンが初登場したのが2012年のことなので、8年越しの実写デビューということになります。

 

気になるのは(↑の動画で添野知生さんも言及していますが)、ディズニーが制作を発表した今後のスターウォーズのスピンオフシリーズがあまりにも多すぎるということです(笑)しかも↓の記事によると、デイブ・フィローニとジョン・ファブローはその中いくつかをマンダロリアンと並行して手掛ける形になるようですね。正直あまり手を広げすぎずにマンダロリアンを早く見せて欲しいと思ったり(だいたい、スピンオフで『オビ=ワン』って何なんでしょう。オビ=ワンが主人公の話ってもはやスピンオフではない気が…)。

japanese.engadget.com

 

今後このシリーズがどうなっていくかわかりませんが、少なくともシーズン2までは傑作と言っていいレベルの出来です。シーズン2に関してはデイブ・フィローニが手掛けた『クローン・ウォーズ』『反乱者たち』との関わりが深く、今後それに出てきたキャラクター達のさらなる実写化もありそうですから、この2作と併せての鑑賞をお勧めします。

 

◆まとめ

・新しくて面白いものが創れている。傑作。