潜水服は蛾の夢を見る

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スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け

映画 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け ポスター 42x30cm Star Wars The Rise of Skywalker スターウォーズ レイ カイロ レン デイジー リドリー R2D2 R2-D2 C3PO [並行輸入品]

製作国:アメリカ(2019)

上映時間:142分

日本公開日:2019年12月20日

監督:J.J.エイブラムス

脚本:J.J.エイブラムス、クリス・テリオ

撮影:ダン・ミンデル

視覚効果監修:ロジャー・ガイエット

出演:キャリー・フィッシャーマーク・ハミル 他(映画.comより)


「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」最後の予告篇 世界同時解禁

 

評価:★★☆☆☆

 

◆感想(ネタバレなし)

本作についてはネタバレなしで書くのが非常に難しいため、感想は下のネタバレありの方に書くことにして、ここでは前作『最後のジェダイ』の感想を書きたいと思います。

 

批判的な意見も多いようですが、私は『最後のジェダイ』は支持派です。脚本に明らかな粗があるのは事実なのですが、今作で明らかにされたレイは何者でもない(特別な血筋の人ではない)という設定が私は好きでした。これによって今までずっとスカイウォーカー家という特別な人達だけの物語だったスターウォーズが、全ての人達に開かれた物語になったと思ったからです。最後に奴隷の少年が箒をライトセーバーのようにかかげるカットでこの話は終わりますが、どんな人達も物語の主役に成り得るのだということを象徴している気がしました。このあたりの内容は結城了さんのこちら↓の記事で大変わかりやすく述べられているので引用したいと思います。

www.jigowatt121.com

 

『最後のジェダイ』に関してはルークの描き方についても批判があるようですが、私はこれについてライアン・ジョンソンを批判するのはお門違いだと思っています。そもそも『フォースの覚醒』の最初の設定である“ルークが命がけで戦っているレイアを残してどこかへ隠れてしまう”という状況そのものが、旧三部作のルークを考えたらあり得ない行動です。ライアン・ジョンソンは自分が作ったわけではないこの設定の理由を描かなければならなかったわけです。正直この設定に対する答えは『最後のジェダイ』で描かれたもの以外無かったと思います。もし『最後のジェダイ』のルークを批判するのであれば、それはそもそもの“ルークが命がけで戦っているレイアを残してどこかへ隠れてしまう”状況を設定したJ.Jエイブラムスを批判するのが筋だと思います。

 

長くなりましたが、総じて私は『最後のジェダイ』は支持しています。それを踏まえ『スカイウォーカーの夜明け』の感想を読んでいただけると幸いです。

*以下ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

カイロ・レンは復活したパルパティーンの元に向かう。パルパティーンはカイロ・レンにレイを殺すことを条件に自身の軍隊であるファイナル・オーダーの協力を約束する。レイ達もパルパティーンの復活を知り、パルパティーンが潜伏している地を探して行動を起こすが、そこでチューバッカをファースト・オーダーに拉致されてしまう。レイ、フィン、ポーの3人はスターデストロイアーに潜入し、チューバッカの救出には成功したものの、レイはカイロ・レンとの戦闘の中で実はパルパティーンの孫であることを突き付けられる。

 

レイ達は破壊されたデス・スターが墜落した星に向かう。レイは一行を追ってきたカイロ・レンと再び対決するが、その最中にレイアの死を感じ取る。レイはフォースを使ってカイロ・レンの怪我を癒すと「ベンの手を取りたかった」と語りかけてその場を去る。取り残されたカイロ・レンはソロの幻覚と対面する。ベン・ソロとしての心を取り戻したカイロ・レンはライトセーバーを捨てる。

 

レイはルークのいた島にやってくる。そこでフォースと一体化したルークと再会したレイは、ルークもレイアも自分がパルパティーンの孫であると知っていたことを知る。ルークからレイアのライトセーバーとXウイングを譲り受けてレイはパルパティーンの潜む地へと向かう。

 

レイの後を追ってポーとフィンもレジスタンスの軍を率いてパルパティーンのいる星へ赴く。ファイナル・オーダーの圧倒的な戦力に苦戦を強いられるが、ランドとチューバッカが銀河中から集めてきた援軍の力で勝利する。

 

レイとベン(カイロ・レン)は共にパルパティーンに挑む。レイは瀕死の重傷を負いながらもパルパティーンを撃破する。ベンはフォースを使ってレイを癒すとそのまま力尽きる。

 

レイはタトゥイーンのルークの生家を訪れ、ルークとレイアのライトセーバーを埋める。通りかかった住人に名を尋ねられたレイは自分の名を「レイ・スカイウォーカー」と名乗る。

 

◆感想(ネタバレあり)

なんと言ってもがっかりしたのがレイはパルパティーンの孫だったという設定です。何者でもない人…だったはずのレイも実は特別な家系の人だったということです。前作で全ての人に開かれたと思われた主人公の位置でしたが、結局このスターウォーズ・サーガの中の特別な人しかなれないものになってしまいました。『最後のジェダイ』のラストを考えると個人的にはこの展開は絶対避けて欲しかったのですが…。今作だけのことを考えても、何者でもなかった人が英雄の性であるスカイウォーカーを名乗るようになる話の方が感動が大きかったと思います。

 

あとこれは観る前から危惧していたのですが、パルパティーンの安易な復活は全体的にこの話を安くしてしまっていたように思います。なんだか物凄く良く出来た二次創作(実際にそうかもしれませんが)を観せられているような感じがしてしまいました。ここまであっさり復活してしまうとこれまでコイツを倒すために苦労した戦いはいったい…と思ってしまいます。また、今まで隠れ潜んでいた割には強大な軍隊を有していたり、過去作には全く登場しなかった「信者」なる存在だったりと今作のパルパティーン周りの設定にはつっこみを入れたくなる要素が多いです。

 

レイの設定にしてもパルパティーンの復活にしても、エピソード7の時点でちゃんと決まっていたものなのか正直疑わしいです。そのぐらい今作で唐突にいろんなことが説明されて回収されました。どちらもせめてエピソード8の時点で少し示唆されても良かったと思います。個人的には7と9を担当したエイブラムスと8のライアン・ジョンソンとの間であまり連携が取れていなかったのではないかという気がします。もっとプロデューサーのキャサリンケネディがしっかり舵を取るべきだったのではないでしょうか。

 

他にもこれまでキーアイテムとして登場することのなかったレイアのライトセーバーが唐突に出てきたり、フィンとローズのその後の関係性には全く触れられて無かったり、C-3POの記憶のくだりは完全に不要だったりといろいろ不満はあります。

 

ただ、いろいろ不満はあっても主人公を演じたデイジー・リドリーは最後まで本当に見事だったと思います。ルーク、アナキンに次ぐ3人目の主人公という大役を立派にやり遂げました。お話にはいろいろ粗のあった新三部作ですが、個人的にはこのレイというキャラクターの魅力によってもっていたところが多かったように思います。よくこの女優を見つけてきたなと思いました。これからレイのイメージを脱却することに苦労があるのかもしれませんが、今後も活躍して欲しいと思います。

 

◆まとめ

・レイがパルパティーンの孫という設定にがっかり。

パルパティーンの安易な復活が全体に今作の印象を安っぽくしている。

・レイを演じたデイジー・リドリーは最後まで良かった。