潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

トッキュウジャー 考察① ヒカグラの理由

コロナショックで休日に外出できないので、久しぶりに『烈車戦隊トッキュウジャー』を観返しています。以前にもトッキュウジャーについての記事をアップしたときにも書きましたが、私はこのトッキュウジャーのキャラクター達が大好きです。子供の時以来観ていなかった戦隊モノをもう一度観るきっかけになった大事な作品でもあります。

dreamofmoth.hatenablog.com

 

さて、こんな記事をわざわざ見て下さった方なら御存知かと思いますが、各戦隊にはファンが妄想で楽しむカップリング要素というものがあります。作中で絡みが多かったり、印象的なシーンがあったりしたコンビを勝手にくっつけちゃう例のアレです(笑)。トッキュウジャーでは横浜流星演じるヒカリと森高愛演じるカグラのカップリングを推す人が多かったようです。

dic.pixiv.net

 

正直なことを言うと私はリアルタイムでトッキュウジャーを観ていたときにはこういうカップリングの文化を知らなかったのですが、そんな私でもヒカリとカグラは「イチャイチャしてんなー」と思いながら見ていました。上のpixivの記事にも書かれていますが、とにかくやたらと戦いの中でヒカリがカグラをかばうことが多いのです。もちろん作り手側は、大きなお友達の間でそういう楽しみ方があるのをわかっているでしょうから、ある程度ファンサービスとして確信犯的にやっているのでしょう。

 

ただ今回始発駅=1話から改めて見直して思ったのですが、このふたりのイチャつき感は、単なるファンサービスだけでなくヒカリのキャラクター描写として必要だったのかなと

 

もう『トッキュウジャー』を観た方には周知の事実ですが、彼らの正体は実は10歳の子供です。けれども精神的な年齢にはバラつきがあって、5人の中で一番精神的に大人びているのがヒカリです。彼の機転が無かったらトッキュウジャーは積んでいたという場面が本編中何回もありました。ただ、あまりにも冷静で周りが良く見えているので、ちょっと冷たく見えてしまうところがあるのも事実。本人のセリフの中でも“たまに何か言えば冷たいとかきついとか…(第28駅より)“とありますし。

 

そんなヒカリが冷静さと共に他者への思いやりを合わせ持っていることを表現する手段が、ヒカリがカグラをどう扱うかということなのではないかと思います。

 

二人のメイン回である「第7駅」で、ヒカリはカグラのなりきりをちょっと馬鹿みたいと思ってることは認めつつ、”それがお前だからいいんじゃない”と言っています。このやり取りがヒカリというキャラクターの描写についてとても重要だと個人的に感じるところです。ヒカリは確かに大人びていますが、自分より幼かったり未熟だったりする人間の一面を決して馬鹿にしているわけではないんですね。

 

ミオがマイッキ―と遊んでいたことも、トカッチのミオへの恋心にも気づくけど、冷やかしたり馬鹿にしたりはしない。人一倍周りが見えるから、人が抱えているコンプレックスにすぐ気づくけど、それに共感し時に応援する彼の優しさは後のエピソードでも随所に出てきます。そんな彼の優しさを表現する方法として「5人の中で最も怖がりで幼いカグラを気にかける」ということが、一番単純かつ頻回に使えるヒカリのキャラクター表現の手段だったのではないかと思うのです。