潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

ジョーカー

Joker (Original Soundtrack)

制作国:アメリカ(2019)

監督:トッド・フィリップス

脚本:トッド・フィリップス、スコット・シルバー

撮影:ローレンス・シャー

出演:ホアキン・フェニックスロバート・デニーロー 他

あらすじ:「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。(映画.comより)


映画『ジョーカー』本予告【HD】2019年10月4日(金)公開

 

評価:★★★★☆

 

◆感想(ネタバレなし)

アメコミ作品は基本的にマーベルのものを観ることが多いのでDCの作品はあまり私は強くありません。ジョーカーというキャラクターについてもバットマンヴィランであること以上に詳しいことは知らないままに観賞しました。

 

結論から言うと良くできた映画だと思います。ジョーカーというキャラクターについては特に知らなくても楽しめました。★5つでも良い映画だと思いますが、個人的に苦手なタイプの映画だったので★4つにしてしまいました。R-15指定ということでそれほどキツくはないですが流血シーンもあります。全編を通じて弦楽器の低い音がベースの音楽が多用され、常に重苦しい雰囲気から逃れられない映画です。

 

今作に関しては主演のホアキン・フェニックスの怪演に触れないわけにはいかないでしょう。今作の脚本は宛書だったそうですが、本当にジョーカーを体現していました。アカデミー賞主演男優賞の有力候補なのも納得です。

*以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

★ネタバレ

アーサー(ホアキン・フェニックス)は大道芸人の同僚のランダル(グレン・フレシュラー)から護身用に銃をもらう。しかし、そのランダルによって自分の雇用主に銃を持っていることを告げ口されて職場を解雇されてしまう。その日の夜、アーサーは地下鉄で会社員の若者にからまれ、彼らを銃で撃ち殺してしまう。しかし、富裕層を殺したピエロ姿の男というのが貧困層に支持され、ピエロのお面をつけたデモ活動がブームになる。

 

アーサーの母親(フランセス・コンロイ)はしきりにトーマス・ウェイン(ブレット・カレン)に手紙を書く。その手紙を盗み見たアーサーは自分がウェインの息子であることを知る。そんな中で母親が脳梗塞を起こして入院してしまう。アーサーはウェインに助けを求めに行くが、ウェインから母親は精神疾患を患っておりアーサーがウェインの息子だというのは彼女の妄想であること、アーサー本人も養子であることを告げられる。アーサーは入院している母親を殺す。

 

敬愛していたコメディアンのマレー・フランクリン(ロバート・デニーロ)のテレビ番組に呼ばれる。アーサーのあまりに酷かった初舞台の様子がフランクリンの番組で取り上げられて話題になったためだ。アーサーは生放送の番組の中で自分こそが地下鉄で3人の若者を殺した張本人だと宣言し、自分を馬鹿にしたフランクリンを殺害する。

 

刑務所でカウンセリングを受けるアーサーは「いいジョークを思いついた。でも誰にも理解されないさ。」とつぶやく。

 

★感想(ネタバレあり)

アーサーが「ジョーカー」としてしか生きる場所が無くなってしまう様子が描かれます。ピエロのお面をした人がデモをする様子を嬉しそうに見るアーサーの表情がなんとも切ないです。

 

その一方で、この話のどこまでが真実でどこまでがアーサーの妄想なのかわからないというのがおもしろいところだと思いました。今作のジョーカーはいわゆる「悪のカリスマ」としての側面は弱いのですが、この話の全てがアーサーの作り話かもしれないと思わせることで、そういったカリスマ的なジョーカーを求める人に対するエクスキューズとしても機能していたように思います。

 

アメコミ原作の映画でこういう雰囲気の話が作られるというところが非常に今日的なところだと思います。このアーサーがこの後全身タイツのコウモリ男と戦うと思うとちょっと興冷めなので、個人的には↓の結城了さんのあのアーサーは実はバットマンと戦うジョーカーではないのではないかという解釈を推したいです。

www.jigowatt121.com

 

◆まとめ

・常に重苦しい雰囲気から逃れられない映画

・アメコミ原作の映画でこういう雰囲気の話が作られるというところが非常に今日的