潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

スパイダーマン ファー・フロム・ホーム

映画ポスター スパイダーマン ファーフロムホーム マーベル US版 hi1 [並行輸入品]

制作国:アメリカ(2019)

上映時間:135分

日本公開日:2019年6月28日

監督:ジョン・ワッツ

脚本:クリス・マッケーナ、エリック・ソマーズ

撮影:マシュー・J・ロイド

視覚効果監修:ジャネク・サーズ

出演:トム・ホランドサミュエル・L・ジャクソン 他

あらすじ:夏休みに学校の友人たちとヨーロッパ旅行に出かけたピーターの前に、元「S.H.I.E.L.D.」長官でアベンジャーズを影から支えてきたニック・フューリーが現れる。一方、ヨーロッパの各都市をはじめ世界各国には、炎や水など自然の力を操るクリーチャーが出現。世界に危機が迫るなか、ニックは「別の世界」からやってきたという男ベックをピーターに引き合わせる。(映画.comより


映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』予告(6.28世界最速公開)

 

評価:★★★★☆

 

◆感想(ネタバレなし)

今作で何よりもまず感心したのが敵の設定です。詳しくはネタバレありの方で書きますが、『エンドゲーム』までのMCUを経たあとだからこその設定でとても面白かったです。

 

スパイダーマンらしいポップさとユーモアも良かったと思います。随所でクスりとさせてくれるシーンがあり、アクションでないパートでも全体的にテンションが落ちない映画になっていると思います。恒例のエンドクレジット後の映像にも笑ってしまいました。

 

今作から正式なヒロインになったMJは素晴らしくキュートでした。サムライミ版のMJはちょっと頭が悪そうなキャラクターになっていましたが、今作のMJはちょっと不器用だけど聡明な感じでよりキャラが立っていたと思います。今作は開始時点でもうピーターはMJに気があるという設定で話が進みます(前作は違う女の子に夢中だったけど)。こんなにいい子ならピーターが好きになるのも納得でした。 

 

ただ、ちょっとMCUの飽和状態感が見え隠れする話であったのも事実です。これについてはネタバレありのところで書きたいと思います。

*以下ネタバレありです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

ピーターはスタークの遺品の眼鏡を受け取る。それにはイーディスという人工知能がプログラムされており、全世界の通信に侵入が可能になるようにできていた。しかし、ヒーローとして戦うことに自信を無くしているピーターはそれをベックに渡してしまう。

 

実はベックは『別の世界』から来たのでなく、元はスタークの部下だった男だった。自身のホログラムの研究をスタークに馬鹿にされたベックは、それを使って世界を支配する計画を数人の仲間と立てていた。街を襲ったエレメンタルズもそれと戦うベックも全てホログラムとドローンによる爆撃で演出されたものだった。騙されたことに気付いたピーターはベックに戦いを挑むが、スパイダーセンスが不調のピーターはホログラムに幻惑され戦いに敗れてしまう。

 

ハッピーに救われたピーターは彼に励まされ、クイーンジェットの中で新しいスパイダーマンスーツを作る。ロンドンでピーターはベックを倒し、イーディスを奪還する。

 

数日後、ピーターはピーターがスパイダーマンであることに気付いていたMJと晴れて恋人同士になり幸せな日々を過ごしていたが、そこにニュース速報が流れる。それはロンドンの戦いでの死の間際のベックの映像で、ドローンによる一連の襲撃はスパイダーマンが画策したもので、自分はそれを止めようとしたが敵わなかった、と主張する動画だった。

 

◆感想(ネタバレあり)

やっぱり気になってしまったのはこれだけデカい災害が起きているのにアベンジャーズの他のメンバーはどうしたの、という問題です。一応のエクスキューズはセリフであるものの、今作の敵はワンダあたりがいたら速攻で解決しそうな案件なので、助けてくれても良かったんじゃないかって思ってしまいます。

 

また、今作ではピーターの“親愛なる隣人”から“世界を守るヒーロー(=次のアイアンマン)になること”への重圧とMJと一緒に普通の高校生活を過ごしたいという願いが描かれるるのですが、この二つを混ぜ合わせて描いてしまったことで、目の前の脅威を放り出して好きな女の子のところ行きたがっているように見えてしまう部分があったのが少し残念でした。

 

それから“かつてスタークに馬鹿にされた男がその腹いせをする話”ってぶっちゃけ前にも見た気が…(笑)。

 

良かったのはネタバレなしのところにも書きましたが、敵の設定です。「異星人が指パッチンで地球を滅ぼしにくる」という文字にするとなんとも馬鹿っぽい設定を前作で観客に飲み込ませたからこそ今作の敵の設定は効いてきます。いかなる敵の存在も信じてしまうのは作中の市勢の人々であり、我々MCUに付き合ってきた観客です。

 

終盤の敵のドローンの視点から見たスパイダーマンのアクションもカッコよくて良かったと思います。

 

今作は『ホームカミング』で登場した人々同士の関係性の変化が大きなポイントとなっています。スタークとピーターの関係性だった疑似親子的関係はハッピーとピーターに引き継がれました。ピーターとMJの関係性の変化は最も今作で重要なところですし、スパ友(スパイダーマンの正体をしっている友達)になったMJとネッドは次作では揃ってサイドキックとして活躍してくれそうな予感です。コメディーパートを引き受けていたハッピーとメイおばさんの関係も次作でさらに進展するのでしょう。

 

◆まとめ

・敵の設定が秀逸

アベンジャーズの他の人が出てこないのはやっぱりちょっと気になる作りではあった。

・『ホームカミング』で登場したキャラクター達の関係性に変化がみられる。次作での進展に期待。