潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

大怪獣のあとしまつ

小説 大怪獣のあとしまつ (講談社KK文庫)

制作国:日本(2022)

日本公開日:2022年2月4日

上映時間:115分

監督:三木聡

脚本:三木聡

撮影:高田陽幸

出演:山田涼介、土屋太鳳 他

あらすじ:人類を恐怖に陥れた巨大怪獣が、ある日突然死んだ。国民が歓喜に沸く一方で、残された死体は徐々に腐敗・膨張が進んでいく。このままでは爆発し、一大事を招いてしまう。そんな状況下で死体処理を任されたのは、軍でも警察でもなく、3年前に姿を消した特務隊員・帯刀アラタだった。(映画.comより)


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評価:★☆☆☆☆

 

◆感想(ネタバレなし)

大怪獣と濁していますが、ビジュアルを観てもらえればわかる通り明らかにゴジラです。実際に造形は平成ゴジラシリーズを手掛けた若狭新一さんが手掛けていらっしゃいます。さらにその大怪獣が地上で倒れたままになっているというのはどうしたって『シン・ゴジラ』のラストを連想させます。東宝の成功に東映と松竹がフリーライドしてきた感じですね(笑)。

 

怪獣映画好きとしては楽しみにしていたのですが、正直不安もかなりありました。その不安の理由が監督・脚本の三木聡です。過去作は『インスタント沼』を観たのですが、正直あんまりおもしろいとは思いませんでした。さらに前作の『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』は誰も褒めてる人がいないんじゃないかという酷評の嵐の作品だったので、これも不安に拍車をかけた一因です。

 

そして結論から言えば、完全にその不安が的中してしまいました。予告編は硬派なSF映画の印象ですが、中身は三木監督テイストのギャグ映画です…。全然劇場で笑いはおこっていなかったけど。

 

これが三木監督の作風と言ってしまえばそれまでなのですが、もっと正攻法なブラックコメディの方が観たかったと思いました。今作の何が問題かと言えば、セリフが全部ギャグっぽいので、登場人物が真剣に事態を解決しようとしているように見えないというところだと思います。劇中の人物は必死だけど傍から観ているとそれが滑稽、というのがコメディの面白さだと思うのですが、今作はそうではありません。あえて言えば凄く長尺のつっこみ不在の漫才を観ている感じでした。30分ぐらいの尺ならそれでもいいのですが流石に2時間の映画という媒体で、これはちょっと…という感じがします。

 

役者陣は凄く豪華なのにもったいないと思いました。染谷将太菊地凛子の夫妻なんて夫婦揃ってなんという映画に出てしまっているんだろうという感じです(笑)。

*以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

八見雲という人物が怪獣のガスを成層圏に排出する方法を特務隊に持ち込むが、リスクもある方法のため実行は見送られる。ユキノの提案で一級河川の真ん中で倒れている怪獣を、上流のダムを決壊させることで海へと押し流すという作戦が実行されるが、怪獣は上流に向けて口を開けて倒れていたため、口から水が入って肛門を通り抜けてしまい作戦は失敗に終わる。八見雲の案に基づいてユキノの兄の青島が設計した排煙装置を使ってアラタは怪獣のガスの排出を始めるが、ユキノの夫の天音はミサイルを撃ち込む。ユキノはアラタを助けようとするが間に合わず、アラタは怪獣から落下する。しかし、アラタはそのまま立ち上がると”デウスエクスマキナ”と唱え、巨大化。怪獣を持ち上げて宇宙へ飛び立っていった。

 

◆まとめ

・SFではなくコメディ映画。ただし、そんなに笑えるわけではない