潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー

グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー [DVD]

制作国:インドネシア(2019)

上映時間:120分

監督:ジョコ・アンワル

脚本:ジョコ・アンワル、 Harya Suraminata

出演:アビマナ・アルヤスティア、タラ・バスロ 他

あらすじ:貧困層に生まれ、スラムで過酷な少年時代を送った男が、雷に打たれることでパワーが増す特殊能力を得る。男は地域を救うため、マフィアや殺し屋集団と激しいバトルを繰り広げる。(映画.comより)


【予告編】グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー<のむコレ2020上映作品>

 

評価:★★★☆☆

 

◆感想(ネタバレなし)

スパイダーマンパチモノ感溢れるビジュアルですが、調べてみると原作漫画は1969年~1982年にかけて出版されていて、意外にも歴史の古い作品です。そして映画としても思っていたほど悪くなかったというのが率直な感想です。

www.tc-ent.co.jp

 

今作の魅力のほぼすべてはアクションにあります。設定としてはグンダラは雷の力を使うヒーローということになっていますが、雷の力を使うシーンはほとんど出てきません(笑)。これは視覚効果を付け加える予算的な余裕が無かったという事情もあるのではないかと思うのですが、結果として生身の迫力あるアクションのつるべ打ちとなっていて、これはこれで良かったと思います。また、終盤のヴィランチームのアクションがおもしろくて、一人ひとりの出番は短いですがキャラが立っていて、なんならこのチームの主演作が観たいと思ってしまいました。

 

ただし、ストーリーについては相当難がある作品であることは否定しません。尻切れトンボ的な展開が多いうえに、今後のユニバース展開に備えた伏線も張ろうとするので、話の流れがつかみにくいです。あくまでアクションを楽しむことを目的に観ることが大前提です。

*以下ネタバレです

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

主人公サンチャカの父は工場で働く労働者を束ねて待遇改善の権利運動をしていた。しかし、労働者側の裏切りによって命を落としてしまう。1年後彼の母親も働きに出たきり戻らず、サンチャカは食物を求めて街へ出て浮浪児となる。街へ出たサンチャカは浮浪児の集団に襲われていたところを、アワンという浮浪児に救われる。サンチャカはアワンから身を守るための格闘の術を教えてもらう。

 

大人になり印刷工場の警備員になったサンチャカは、隣人の姉弟ウランとテディと知り合う。ウランは市場の人々の権利を守る活動をしていた。市場が30人のチンピラに襲われた際、その場にいたサンチャカは一人でその30人を撃退する。自分でも自分の力に戸惑うサンチャカだったが、雷に打たれることで自分がパワーアップすること、雷に打たれたときに耳を守っていると落雷の痛みがないことに気づき自作のマスクを作って人々を守るために戦い始める。

 

米の中に毒物が混入され、食べた妊婦が次々と倒れるという事件が起こる。毒物は胎児の脳の発育に影響を与え、生まれてくる子供を不道徳にするという報道がされる。製薬会社によって解毒剤が作られ、議員のリドワン・バハリーらの尽力によって妊婦へ解毒剤を投与する法案が可決する。しかし、すべてはマフィアのペンコールが仕組んだもので、米に混入された毒物には不道徳にする作用はなく、妊婦に投与される解毒薬が本物の毒物であることがわかる。自身も孤児だったペンコールは、同じように身寄りの無い子供達を集めて暗殺者の集団を作り上げていた。ペンコールと彼が育てた暗殺者集団にサンチャカは襲われるが、そこで自分の能力を覚醒させ、暗殺者集団を撃破する。サンチャカは自分が雷の力で破壊したものと同じものが離れていても破壊できる能力があることに気づき、毒物を破壊することに成功。毒物は一部の妊婦に投与されてしまった後だったが、多くの妊婦を救うことに成功する。

 

彼の活躍の裏で、謎の人物ガズルが”人類の真の敵”とされるキ・ウィラウを目覚めさせる。

 

◆感想(ネタバレあり)

ヴィランのペンコールが結局何をしたかったのかわからないことや、毒物の破壊に微妙にサンチャカが間に合ってないことが、今一つこの話のすっきりしないところで、ヒーローの誕生談の物語としてはもう少しカタルシスが欲しかったのが正直なところです。

 

マーベル・シネマティック・ユニバースの成功を受けて、多くの映画会社がユニバースもののシリーズを作ろうとして失敗したという経緯があるわけですが、このブンミラゲット・シネマティック・ユニバース(BCU)はどうなるでしょうか。アクションは良かったので、お話面さえ改善された作品が作れれば意外と面白いものになっていきそうな気もします。次作はスリ・アシというヒロインが主人公の作品となるようです。ひとまずこの作品を楽しみに待ちたいと思います。

 

◆まとめ

・お話面は難があるが、アクションは良い作品。