グラフィティ・グラフィティ
制作国:日本(2019)
上映時間:30分
劇場公開日:2020年11月20日
監督:松尾豪
脚本:松尾豪、宮本佳奈、吉沢太智
撮影:入江望
出演:渡邉梨香子、萩原正道 他
あらすじ:女子高生の柚子は、ある日の夜、悪友の誘いで商店街のシャッターにグラフィティを描く。翌朝、描かれた家の主人の権三は激怒し、柚子の描いたグラフィティの上にペンキで「ヘタクソ!」と書きなぐる。すると、今度はそれに柚子が怒り、グラフィティを上書きする。その日から、柚子と権三は夜ごとにグラフィティを描き合う争いを繰り広げる。そのなかで柚子は、次第にグラフィティそのもの楽しさに目覚めてゆく。(映画.comより)
評価:★★★★☆
◆感想(ネタバレなし)
こうした自主制作の短編映画を観ることがほとんどないので、他のと比べてどうなのかはわからないのですが、この作品自体は面白かったです。
特に印象的だったのは権三の登場シーンです。シャッターにグラフティを書かれていることに気づいて、それを消す準備を整えるところのテンポ感が心地よいのです。これだけで権三の表情は怒っているけど、内心ちょっと楽しんでいる感じが伝わってきました。
舞台挨拶付きの会を観たので、監督が撮影の様子を話すのを聞けました。ロケ地の商店街はいかにも地方都市という感じなのですが、実際は神奈川県なのだそうです。また、今作でシャッターに描かれる絵は役者さんのお芝居を撮ったあとに後から合成してつけているのだそうです。こういう小規模な作品でも合成が用いられていることを始めて知りました。
パンフレットによると柚子が描いたグラフィティアートのうち、序盤で描いていたものは松尾監督自らが描いていたのだそうです。多才な方なんだなと驚きました。
*以下ネタバレです
◆ネタバレ
柚子はグラフィティにのめりこんでい中でグラフィティアートを勉強するためにニューヨークに留学したいと思うようになる。しかし、学校の成績が不振なことを教師と親にとがめられ、その矢先に権三が写真家になる夢をあきらめて今の店をやっていることを知り、グラフィティアートをやめて受験勉強に専念する。しかし、権三はグラフィティアートを自分の店に描いていたのが柚子だと知り、″逃げるな”とシャッターに描いてエールを送る。柚子はその言葉に押されニューヨークへ行く決意をし、その決意を込めたグラフィティアートを権三のシャッターに描く。
◆感想(ネタバレあり)
エンドロールがすばらしいです。主人公柚子が空にスプレーを放ったところからグラフィティアート調のスタッフロールが始まるのですが、お話そのものの結末に加えてこのエンドロールの持っている清涼感がこのお話の鑑賞後のさわやかさを支えているように思いました。
◆まとめ
・一般的な他の短編自主映画とは比べられないが、単純におもしろかった
・エンドロールが秀逸