潜水服は蛾の夢を見る

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コンフィデンスマンJP プリンセス編

映画チラシ『コンフィデンスマンJP プリンセス編』5枚セット+おまけ最新映画チラシ3枚

制作国:日本(2020年)

劇場公開日:2020年7月23日

上映時間:124分

監督:田中亮

脚本:古沢良太

撮影:板倉陽子

出演:長澤まさみ東出昌大 他

あらすじ:世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンドが他界した。10兆円とも言われる遺産をめぐりブリジット、クリストファー、アンドリューの3姉弟が火花を散らすが、執事トニーが相続人として発表したのは、誰もその存在を知らない隠し子ミシェルだった。世界中からミシェルを名乗る詐欺師たちが“伝説の島”ランカウイ島に集結する中、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人もフウ家に入り込み、華麗かつ大胆にコンゲームを仕かけるが……。(映画.comより)


『コンフィデンスマンJP プリンセス編』予告【7月23日(木・祝)公開】

 

評価:★★☆☆☆

 

◆感想(ネタバレなし)

アイキャッチで使ったチラシには公開日が5月1日と書かれています。御存知の通りコロナウイルスの世界的大流行の影響で今作の公開日は大幅に遅れが出ました。それだけでも十分災難でしたが、今作には”笑えない”出来事が付きまといました。ドラマ版からのレギュラーキャストだった小手伸也東出昌大の不倫が立て続けに発覚し、さらに公開の直前になって三浦春馬が30歳の若さ亡くなるという、大変ショッキングなニュースが報じられました。

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そして残念ながら映画そのものの出来としても、あまり“笑えない”作品になってしまっています。ネタバレなしに言うのは難しいのですが、前作ロマンス編はコンフィデンスマンJPのシリーズに求められることをきっちりやり切った作品だったのに対し、今作は恐らくそれとの差別化を図ろうとしてこれまでのシリーズのお約束から外れる要素を盛り込んでいます。そしてその要素があまり上手くはまっていないというか、このシリーズとの食い合わせが悪かったような印象を受けました。

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*以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

ダー子たちは孤児のコックリ(関水渚)をミシェルに仕立て上げてレイモンド家へ潜入する。当初は手切れ金を目当てにしていたが、執事のトニー(柴田恭平)は2人をレイモンド家にふさわしい人間にするために徹底的に教育する。ある日レイモンド家の玉獅を目撃したダー子とボクちゃんはコックリに玉師が授与される式典で騒動を起こし、玉師を持って脱出する計画を立てる。騒動を起こすのは五十嵐の役割だったが、式典の最中にかつてレイモンド家に土地と職を奪われた男が乱入し、本当の騒動が起こってしまう。コックリの活躍で騒動は収まるが、そのどさくさに紛れて赤星(江口洋介)の雇った殺し屋にダー子たちは殺されてしまう…というのはダー子たちの計画の内。赤星が関与してくることを事前に察知していたダー子たちは、赤星の雇った殺し屋をジェシー三浦春馬)の協力で波子(広末涼子)とモナコ織田梨沙)にすり替えていた。式典の翌朝、コックリはダー子たちのもとに駆け寄るが、式典での振る舞いでミシェルとしてレイモンド家に受け入れられていたコックリをダー子は置いていく。

 

◆感想(ネタバレあり)

今作の実質的な主人公はコックリだと言っていいでしょう。貧困に苦しみ、教育をまともに受けられなかったコックリは、レイモンド家で初めて受けられる教育を嬉々として受け入れます。このコックリの現実的な切実さとダー子たちの浮世離れしたキャラクター描写との食い合わせがあまり良くなかった気がします(念のため言及しておくと新キャラクターを出すことがダメと言っているわけではありません。前作の新キャラクターのモナコは上手く作品にはまっていたわけですし)。物語の後半に行くにしたがってコックリの側の切実さが前面に出てくるのですが、その分コメディとしての面白さが停滞し、エンディングはシリーズで最もウエットなものになっています。個人的にはこういうウェットな要素はこのシリーズに求めて無かったなと。やっぱり悪いやつらを懲らしめて、ホテルの部屋でお札をばらまく打ち上げシーンで終わって欲しかったです。

 

またいい話っぽく終わった今作ですが、コックリは今後ずっと自分の素性を偽り、自分を受け入れてくれた兄弟たちを騙し続けなければいけないことになります。ダー子はコックリとの別れ際”あんたは詐欺師に向いていない。だから置いていく”みたいなことを言っていましたが、むしろレイモンド家に残り続ける方が究極的な詐欺行為な気がします。この結末は本当にコックリにとって幸せなことなのかと考えると疑問が残ります。

 

前半~中盤にかけて登場人物が次々と出てきて、物語の風呂敷がドンドン広がっていく感じは楽しい分、終盤の尻すぼみ感が余計に際立った印象でした。

 

総じて『ロマンス編』、『運勢編』とドラマ終了後の長編3本目でちょっとネタが尽きてしまった感が否めません。フジテレビとしてはドル箱のシリーズだと思いますが、作品のクオリティとしては暗雲の立ち込める結果となったように感じます。

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三浦春馬が亡くなったからというわけではないですが、良かったのはジェシーとダー子のダンスシーンです。赤星に見つからないようにしながら踊る馬鹿馬鹿しいシーンなのですが、このシリーズらしい軽さがあってよかったです。ただ、メタ的にはこんなに楽しそうに演じていた人が亡くなってしまったということに胸が痛むシーンでもありました。

 

◆まとめ

・新キャラクターのコックリのウエット感がこのシリーズと合っていない。