潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

記憶にございません!

 メインテーマ Piano solo ver.

 制作国:日本

上映時間:127分

日本公開日:2019年9月13日

監督:三谷幸喜

脚本:三谷幸喜

撮影:山本英夫

出演:中井貴一ディーン・フジオカ 他

あらすじ:国民からは史上最悪のダメ総理と呼ばれた総理大臣の黒田啓介は、演説中に一般市民の投げた石が頭にあたり、一切の記憶をなくしてしまう。各大臣の顔や名前はもちろん、国会議事堂の本会議室の場所、自分の息子の名前すらもわからなくなってしまった啓介は、金と権力に目がくらんだ悪徳政治家から善良な普通のおじさんに変貌してしまった。国政の混乱を避けるため、啓介が記憶を失ったことは国民には隠され、啓介は秘書官たちのサポートにより、なんとか日々の公務をこなしていった。結果的にあらゆるしがらみから解放されて、真摯に政治と向き合うこととなった啓介は、本気でこの国を変えたいと思いはじめようになり……。(映画.comより)


映画『記憶にございません!』予告

 

評価:★★☆☆☆

 

★感想(ネタバレなし)

三谷幸喜の作品は基本的には好きなものが多いです。ドラマの『古畑任三郎シリーズ』や『ラヂオの時間』『有頂天ホテル』などは好きな作品です。ただ、そんな私でも前作『ギャラクシー街道』は擁護しがたい悪い出来の作品だったと思います。そのため今作は期待より不安の方が大きい中で観賞しました。

 

結論から言うと『ギャラクシー街道』ほどは悪くなかったです。劇場でも結構ウケていましたし、私自身も声を出して笑ってしまった場面が何度もありました。特に序盤の奥さんと勘違いして料理人を抱きしめてしまう場面や、ゴルフ場での「OK」のくだりはおかしかったです。

 

ただこれは割と三谷作品にいつもあることなのですが、登場人物の行動が割と突拍子もないので、劇中の人物が真剣に生きているように見えないのです。その割には良いことっぽいことをいきなり語り出したりするので、なんとなくシラけてしまうというか、こんなにいい加減に生きてそうな人に言われてもな…という気持ちになってしまいました。もっと馬鹿馬鹿しい方向に振り切ってくれたら良かったのですが、中途半端にいい話にしようとしたのが上手くいってなかった気がします。

*以下ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

本気で国を変えたいと考えた啓介は、影で暗躍していた鶴丸を失脚させることに成功する。秘書官の馬場は啓介が小学校の時に書いた作文から、実は彼が途中から記憶を取り戻していたことに気付く。啓介は今回の騒動を自分の方針転換に利用したのだった。

 

◆感想(ネタバレなし)

ネタバレなしの感想でも書きましたが、登場人物があんまり真剣に生きているように見えないという点が今作の大きなネックだと思います。結果として突拍子なことを一番しない悪役の鶴丸草刈正雄)が一番まともに政治をやっている人に見えてしまいました。

 

実は途中から主人公が記憶を取り戻していたというオチも微妙というか、じゃあ、今までの(石が当たる前の)この人の政治姿勢はなんだったの?という疑問が残る終わり方になっていたと思います。

 

全体を通して三谷幸喜なりの理想の政治の在り方を描いたのかもしれませんが、いかんせん綺麗ごと過ぎる気がしました。場面ごとにおもしろいシーンもあるのですが、お話全体としてはまとまりに欠ける気がしました。

 

 

◆まとめ

・登場人物があんまり真剣に生きているように見えないという点が大きなネック

・おもしろい場面もあるが、全体としてはまとまりに欠ける印象。