潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

テン・ゴーカイジャー

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制作国:日本(2021)

上映時間:61分

監督:中澤祥次郎

脚本:荒川稔久

出演:小澤亮太山田裕貴 他

あらすじ:宇宙最大のお宝を求めて地球にやって来た海賊戦隊ゴーカイジャーが、宇宙帝国ザンギャックの侵略から地球を守り抜いて10年が経った。地球では、公営ギャンブルスーパー戦隊ダービーコロッセオ」が大流行。その収益は地球の防衛費に充てられるため、歴代スーパー戦隊のレジェンドたちのほとんどがこのプロジェクトに協力していた。しかしゴーカイジャーはすでに解散しており、運営サイドもコンタクトを取れずにいた。そんな中、キャプテン・マーベラスが地球に現れ、運営サイドに挑戦状を叩きつける。マーベラスの前に立ちふさがったのは、ダービーコロッセオの主旨に賛同する伊狩鎧だった。(映画.comより)


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評価:★★★★★

 

◆感想(ネタバレなし)

ゴーカイジャーの10周年記念作品ですが、私自身はゴーカイジャーは10年前にリアルタイム視聴はしておらず、放送終了した後完全に後追いで視聴しました。個人的には大変好きな戦隊シリーズの一つです。スーパー戦隊シリーズ35周年記念作品として、ゴーカイジャーはかつてのスーパー戦隊シリーズの出演者がゲストとして登場することが大きな売りだったわけですが、私が心底感心し感激したのはそういうゲストはどうでもいいと思えるぐらい、ゴーカイジャーの6人のキャラクターの魅力が立っていたことです。

 

キャラクターの魅力は演者の魅力無しには語れません。正直山田裕貴以外の5人は俳優として売れたとは言えないわけですが、演技は全員上手だと思います。個人的には特にマーベラスを演じた小澤亮太が上手いと思っています。粗っぽさもありつつどこか憎めない感じが絶妙に体現されていて、海賊であり同時にヒーローでもあるというこの戦隊のコンセプトは小澤亮太のキャプテン・マーベラスの好演無しでは成立し得なかったのではないでしょうか。マーベラス以外の5人がそれぞれバラバラな個性でありつつも、ちゃんとマーベラスに敬意を持っていて、マーベラスを中心にまとまっている感じがセリフではなく雰囲気で表現出来ているのもこの戦隊の良いところだと思います。つまるところは役者同士のアンサンブルが上手くいっているということなのでしょう。

 

私個人としては大好きな6人がジュウオウジャーでのゲスト出演以来5年振りに全員揃って、しかもスクリーンで観られるということでとにかく楽しみにしていました。正直山田裕貴がこの手の作品に出るには売れすぎていましたし、小池唯も一時全く芸能活動をしていなかった時期があったりしたので、10周年記念の新作は作られないと思っていただけになおさらでした。

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前置きが長くなりましたが、『テン・ゴーカイジャー』は非常に良かったです。

 

意外にも素面でのアクションが多くて、特に小澤亮太池田純矢は(二人とも身体能力が高いからだと思いますが)長尺のアクションをしています。小池唯も二人ほど尺はないもののアイムらしい、相手の力を上手く使う合気道のようなアクションを披露していました。変身後もゴーカイジャーお約束の武器交換やジュウオウジャー以降の戦隊へのゴーカイチェンジなど期待通りのサービスが盛り込まれています。

 

懐かしさを喚起するところはしっかり満たしたうえで、あえて剣を使わずに戦うゴーカイブルーだったり、ハカセがもじゃもじゃ頭を有効活用してたりとこれまでになかったキャラクターの行動も少し取り入れてくれたのも嬉しいところです。

*以下ネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

マーベラスは鎧を追い詰めるが、何者かからの妨害を受け、その隙に鎧の反撃にあってしまう。窮地に陥ったマーベラスをアイムが救出する。ダービーコロッセオの運営側はレンジャーキーから戦士たちを呼び出してマーベラスとアイムの追跡をさせる。ダービーコロッセオの真の目的はレンジャーキーの力を一挙に集め、宇宙を侵略する軍隊を作ることだった。それを知った鎧はマーベラスとアイムを助けに向かう。一方ルカとハカセの作戦で、ダービーコロッセオの運営者たちがレンジャーキーを悪用しようとしていたこと、その正体がバクート海賊団であることがテレビで生放送され多くの国民が真実を知る。全てはバクート海賊団が地球に向かったことを知っていた鎧以外の5人の共同作戦だった。再び集結したゴーカイジャーはバクート海賊団を倒し、なおもレンジャーキーを悪用しようとする国防大臣の野望は、かつてゴーカイジャーに″この星の価値”を語った丹羽野が阻止する。

 

◆感想(ネタバレあり)

良く考えると最初からバクート海賊団の仕業と目をつけていたのならば、マーベラスとアイムの会話はミスリード過ぎな気もします。ガレオンを沈められたのであれば序盤でマーベラスが乗ってきた船はなんだったのかとか、そもそも皆どうやって地球に来たんだろうかとか、気になるところは無くも無かったのですが、お話は総じて良かったと思います。60分の尺だとこのぐらいシンプルな話がいいですね。

 

本当に残念だったのは予告編のジョーの″お前は俺の知ってるマーベラスなのか!?"というセリフが、実は本編に出てこないセリフだったことぐらいです。折角本編の内容が良かったので、こういう予告編詐欺みたいなことはしないで欲しかったです。

 

スーパー戦隊公営ギャンブルに使われるという設定は、その利益をスーツのメンテナンスに使うとか、有事のときには本人に返すとか細かいところがしっかりしていて、結果的には敵の策略なわけですが、一応ちゃんと納得させられるものでした。

 

テレビシリーズのゴーカイジャー2話でマーベラス相手に啖呵を切った少年をもう一度出すというは粋な感動のさせ方だなと思いました(あとから気づいたのですがこの役名の丹羽野将年は「ニワノショウネン=2話の少年」ということなんですね)。さすがに同じ役者さんは起用できなかったらしく、回想シーンを使って同じ人物であることを説明しなくてならなくなっていましたが、お話としては良かったと思います。

 

ゴーカイチェンジを全員揃うまできちんと見せない(それまでの単体の変身ではカメラから見切れると変身し終わっている)のは、予算の都合だと思うのですが、最後の変身の盛り上がりに寄与していて良かったと思います。

 

こちらの方の動画を観てなるほどと思ったのが、エンドロール後の最後のカットがカレーをおなか一杯食べてお店で寝てしまっている6人で終わるということの良さです。言われてみれば、この感じはまさにゴーカイジャーのチャーミングさを絶妙に表現していたと思います。


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欲を言えばエンディングは「スーパーヒーローゲッター」ではなくゴーカイジャーのテーマを流して欲しかったと思いました。確か作品全体の中でもゴーカイジャーのテーマは一度も流れないので、これは少し寂しかったです。

 

とはいえ東映特撮作品としてはとても満足できる一本でした。↓の動画では40歳になったら厳しいなんてことも言っていますが、そんなこと言わずに20周年もやって欲しい6人です。


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◆まとめ

・素面のアクションが多いのが嬉しい

・お話もシンプルでわかりやすい

東映特撮作品としては大満足のレベル