潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

海獣の子供

映画チラシ 海獣の子供 芦田愛菜

制作国:日本(2019)

上映時間:111分

日本公開日:2019年6月7日

監督:渡辺歩

原作:五十嵐大介

総作画監督小西賢一

音楽:久石譲

声の出演:芦田愛菜、石橋陽彩 他

あらすじ:自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、長い夏休みの間、家にも学校にも居場所がなく、父親の働いている水族館へと足を運ぶ。そこで彼女は、ジュゴンに育てられたという不思議な少年・海と、その兄である空と出会う。やがて3人が出会ったことをきっかけに、地球上でさまざまな現象が起こりはじめる。(映画.comより)


【6.7公開】 『海獣の子供』 予告1(『Children of the Sea』 Official trailer 1 )

 

 評価:★★☆☆☆

 

◆感想(ネタバレなし)

主人公の声に芦田愛菜、音楽に久石譲、主題歌に米津玄師というとても大衆的な作品を作りそうな座組で出来たこの作品はめちゃくちゃ難解でした。全然大衆的な作品ではありません。どおりで夏休み公開ではないわけです。東宝としてはわかりやすい大衆的アニメ映画はこれから公開の『天気の子』に任せた!ということなのでしょう。

 

何度もこれが今後の展開の伏線なのかなと思わせる意味深な場面があるのですが、そのどれもが全然回収されずに話が進んでいきます。劇中で“人間は言葉にできることしか伝えられないけど、クジラは歌でありのままのことを伝えられるんだ(←正確ではないですがこういう主旨)”みたいなセリフがあるのですが、この映画はまさにクジラの歌のように起こった出来事のありのままを描写していくだけなのです。言葉でその意味を説明いちいちしないとわからないような人間は最初から相手にされていないような気がしました。私はクジラの歌がわからない側の人間なのでしょう(クジラは大好きなのですが)。

 

ただ、気になるのはこの難解さはどこまで意図されたものなのかということです。私は原作未読なのであんまりつっこんだ話はできないのですが、少なくとも映画としてのこの作品に「脚本」のクレジットが無いのは少し気になります。本作にどうして「脚本」のクレジットが無いのかわかりませんが、一般的には映画の脚本のクレジットが無いというのは制作時のトラブルを予感させます。原作漫画があるものなのである程度はこれに沿った内容になっているのだとは思いますが、この映画の難解さは原作由来のものなのか、それとも原作漫画を映画にするにあたって脚本が上手く出来ず偶発的に難解になってしまったのか。もし原作を読んだかたがいらっしゃったら御意見を伺いたいです。

*以下ネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

琉花は海と隕石が落ちてくるのを見る。隕石を見つけた空は琉花にそれを託すと消えてしまう。やがて海の生き物の“祭り”が始まり、琉花はクジラの“ソング”に引き付けられるように祭りに向かう。祭りの中で琉花は海に隕石を飲ませると海は無数の命となって消えていった。

 

◆感想(ネタバレあり)

ネタバレを読んでもどんな話かさっぱりわからないと思います。何しろ書いている私がどんな話かわからなかったので(笑)一応私の解釈を書いておくと、劇中の隕石=精子(これはセリフでも出てきているので間違いありません)が琉花の身体に入って命となり、それを海に与えたことがさらなる命につながっていく、つまりあらゆる命がつながっているという話だったのだと思います。

 

今作の難解さが原作由来なのか、脚本由来なのかはともかくとして、その難解さの由来になっていることの一つが登場人物が何を知ってて、何がしたいのかわかりにくいということです。特に今作で何か真理を悟っている風の空、アングラード、ジム、デデの4人が何をしたいのかわからないというのは大きいと思います。 

 

芸術映画が分かりにくいのは今に始まったことではないですし、『ゴジラ』とか『アベンジャーズ』で燥いでしまう私がこういうタイプの映画が理解できないのもあるのですが(;^ω^)今作は本当に難解でした。どなたか解説をお願い致します。

 

◆まとめ

・難解な作品でした(笑)

・脚本のクレジットが無いのが気になります。