潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナル

【映画パンフレット】 かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル 平野紫耀 橋本環奈 佐野勇斗 浅川梨奈 影山優佳

制作国:日本(2021)

日本公開日:2021年8月20日

上映時間:116分

監督:河合勇人

脚本:徳永友一

撮影:花村也寸志

出演:平野紫耀、橋本環奈 他

あらすじ:将来を嘱望されるエリートたちが通う私立秀知院学園で、史上最も白熱する戦いとなった「第68期生徒会選挙」。引き続き生徒会長に白銀御幸、副会長に四宮かぐやが就任し、会計監査の伊井野ミコを新メンバーに迎えて第68期生徒会が始動する。互いに惹かれ合いながらも「自分から告白したほうが負けである」という呪縛からいまだに逃れられない白銀とかぐやは、神聖なる生徒会室で“いかにして相手に告白させるか”の恋愛バトルを繰り広げるが……。(映画.comより)


www.youtube.com

 

評価:★★★☆☆

 

◆感想(ネタバレなし)

青春恋愛映画というジャンルはまず続編が作られないジャンルです。基本的に登場人物の恋愛が成就するまでのお話ですから作りようがないということなのでしょう。その意味で『かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦』は異色の作品だと言えます。続編を知ったときには驚きました(もっとも前作は結局二人の恋愛バトルは続くという結末だったので続編が作れる素地はあったわけですが)。

 

お話的には前作のほぼ直後から始まるのですが、その割に映画の公開は前作との間にだいぶ期間が空きました。これは私の推測なのですが、企画自体は前からあって公開ももっと早い予定だったものが、コロナウイルスパンデミックの影響で制作が後ろにずれこんだのではないかと思います。

 

私は前作の内容を全く覚えていなかったのでAmazon primeでしっかり復習してから臨みました。そして思い出しました。特に中身らしい中身はない作品だったことを(笑)

 

でもこれはそのままこのシリーズの強みでもあります。結局この手のジャンルの映画は「美男美女がイチャイチャする様を愛でる」ための映画であり、ストーリー自体はどれもそれほどおもしろみが無いことがほとんどです。その点、『かぐや様は告らせたい』は割り切りのはっきりした作品で、前作も今作もストーリーをまともに語るということは放棄しています。なにしろ冒頭からテロップで右下に″ナレーション 佐藤二郎”と出てきます。この時点で観ている人に“真面目に観る映画じゃありませんよ”というエクスキューズをしています。これ以降もやたらとテロップやナレーションが出てきますし、演出も過剰で、いわゆるリアリティのある人間を描こうということはしていません。その一方で主演の二人の平野紫耀、橋本環奈のキュートさは全面的に押し出しており、良くも悪くもその一点で勝負する作品です。

 

ジャンルの需要の中核だけで勝負するという点では『ゴジラ vs コング』に近い…のかも?

*以下ネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

白金はアメリカの大学に進学することになる。文化祭の日に白金はかぐやだけに伝わる方法で彼女を時計台に呼び出し、一緒にアメリカに進学しないかと言うが、かぐやはそれを断りその翌日から失踪してしまう。時が経ち、アメリカの大学を訪れた白金は先回りして進学していたかぐやと再会する。白金はかぐやに告白する。

 

◆感想(ネタバレなし)

白金とかぐやのキュートさを愛でるのがこの作品の肝なのですが、その点ではちょっと後退してしまったような気がします。中盤の石上の過去についてのくだりは(Wikipediaによると原作にある展開らしいですが)、無くてもいいからもっと白金とかぐやのイチャイチャを見せて欲しかったなと。この石上の件を通してかぐやが白金の優しさを再認識し、思いを一段と募らせるというお話上の意味は一応あったわけですが、もともとストーリーテリングには労力を割いていない作品ですし、かぐやが白金を好きというのは前作からの大前提なので今更付け足さなくても良かったのではないかと思います。

 

エンドロールでKing & Princeの『恋降る月夜に君想ふ』にのせて生徒会メンバーが踊るのですが、ここはこの作品らしい多幸感があって良かったです。ただ振り返るとこのダンスが一番印象に残ったのも事実で、やっぱり前作同様それほど中身のある映画では無かったです(笑)。とはいえ、終始テンション高く気楽に楽しく観られる映画ではありました。この映画に求められることにはきっちり応えたつくりにはなっていたと思います。

 

公開に先立ちAmazon Primeで『かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ミニ』という一話10分程度のショートストーリーが配信されているのですが、正直こっちのほうがおもしろかったなと。今作は白金とかぐやがイチャイチャするシュチュエーションを楽しむ作品なので、長尺の映画よりもどんどんそのシュチュエーションを量産してくれる短編の連続のほうがあっているように思います。

 

◆まとめ

・前作同様それほど中身はない

・この映画に求められることにはきっちり応えたつくりにはなっていた