潜水服は蛾の夢を見る

主に映画の感想を語るブログです

義母と娘のブルース 2022年 謹賀新年スペシャル

【Amazon.co.jp限定】『義母と娘のブルース』2022年 謹賀新年スペシャル(ミニポスター (キービジュアル)付) [DVD]

放送日:2022年1月2日

演出:平川雄一

脚本:森下佳子

出演:綾瀬はるか 竹野内豊 他

あらすじ:2020年の年明け。義母・亜希子(綾瀬はるか)の手腕により再建に向かっていた大阪の企業・ゴルディックが乗っ取りに遭う。新しいオーナーは、外資系ファンドのボス。企業を安値で買収し、株式や資産を高値で売りさばいて大金を得る、いわゆるハゲタカである。しかし、憎き相手に対面したはずの亜希子は、彼の姿に言葉を失ってしまう。リベンジすべきその男・岩城良治(竹野内豊)は、他界した夫・良一(竹野内豊、二役)と顔が瓜二つだったのだ!!そんな衝撃の幕開けをする今作。ハゲタカ良治が買収の標的にするのはまさかのベーカリー麦田。ある新事業が功を奏し、売り上げを順調に伸ばしていたベーカリー麦田だが、日本一のパン屋を目指す店長・麦田章(佐藤健)のノーテンキな野望につけ込み、大手製パン会社との合併を画策していたのである。麦田の営業部長である亜希子は、明らかに裏がありそうな良治の提案にNOを突きつけるのだが、亜希子の心はかすかに揺れ動いていた・・・。果たしてこの買収劇にはどんな展開が待ち受けているのだろうか?ハゲタカへのリベンジか、はたまた恋か?亜希子へ思いを寄せる麦田も巻き込んだ三角関係!?そんな大人たちを、相変わらずの笑顔で見守るみゆき(上白石萌歌)は、誰よりも亜希子の幸せを望んでいた。(公式サイトより)


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評価:★☆☆☆☆

 

◆感想(ネタバレなし)

連ドラでやっていたときは好きだったのですが、今作は期待が大きかった分がっかりしてしまいました。

 

今作はお話的には前作(2020年の新春スペシャル)の直後から開始にもかかわらず、リアルタイムでは2年の月日が経っているというギャップがあり、正直に言うと私は前作の内容を忘れていたので、武田鉄矢がどういう役どころだったか忘れていました。これは私の邪推なのですが、恐らくTBSは2020年中に今作を作りたかったのではないかと思います。2020年の新春スペシャルは岩城と亜希子が対面するところで終わるという、非常に中途半端な幕切れでした。これだけ明らかに続きがあることを示しておきながら、続編が放送されるのが2年後というのは普通は無いと思うので、何らかの理由でスケジュールが遅れてしまったのではないかと思います。

 

あと、元々は連ドラの企画だったのかなとも思いました。スペシャルドラマの続きがまたスペシャルドラマということってあまりない気がします。いずれにしてもスペシャルドラマで一気に描くより、連ドラでじっくり描く方が向いているストーリーだったと思いました。

*以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

岩城には真面目に企業再建に取り組みたい気持ちが残っているのではないかと感じた亜希子は、株式を5年は売らないという条件のもとで白百合製パンと麦田の合併を提案する。亜希子が出した条件には、そうすることで岩城が自社から咎められずに地道な企業再建が出来るようになるという意図があった。しかし、岩城は亜希子の提案が自身への不信からくるものであると誤解。ダミーの契約書を亜希子に示し、その間に麦田と株式に関する条件の無い契約を直接結び、ベーカリー麦田の商品の実質的な乗っ取りをしてしまう。亜希子は白百合製パンの従業員たちと結託して大々的な抗議を行い、わざと麦田の株価をさげることで株式の売却を阻止。さらに岩城の元妻で弁護士の中瀬の協力を得て、一連の契約を白紙に戻すことに成功する。みゆきから自身が亡き良一と容姿がそっくりであることを聞かされた岩城は、一連の出来事で宮本家の思い出を傷つけたことを謝罪。罪滅ぼしとして亜希子、みゆきと二人で良一と撮れず終いに終わった家族写真を撮る。

 

◆感想(ネタバレあり)

どうしても最後の展開に納得いきませんでした。いくら顔が似ているからといって全くの別人とああやって写真を撮りたいものでしょうか。ましてや亜希子は岩城が自分の真意を誤解した結果ああいった行動をしたと知らないので、単に自分を騙しただけだと思っているはずです。どう考えても亜希子と岩城の関係性がもう少し修復された後でないとあの展開は厳しいものがあったと思います。

 

エンドロールでは主題歌の『アイノカタチ』とともにドラマのときの映像が映るのですが、正直ここが一番良かったというか…。改めてこの物語はやっぱり亜希子とみゆきのお話であり、そこが良いところだったのだと再認識させられました。亜希子もみゆきもお互いのことを大事に思いあっている理想的な親子ですが、それでもすれ違ってしまうことがあって、その度に自分達の関係を見つめ直して…ということの尊さが『義母と娘のブルース』という作品の肝なんだと思います。残念ながら今回の話は亜希子と岩城の関係性に焦点が向けられていて、亜希子とみゆきの関係性の変化や発展はまったくありません。いろいろなことを経験してもう親子としては成熟しきってしまったということなのかもしれません。

 

また、その亜希子と岩城の関係性もお互いを思い合う二人のすれ違いというより、岩城が亜希子の味方になるのか否かというところをお話の推進力にしているのでここも少し弱い気がします。本来だったらクライマックスで起こる亜希子を騙してしまう展開はもっと物語の早い段階で起こらないといけなかったのではないかと思います。その上で亜希子と岩城の関係性の修復というところに焦点が当たっていたら、もっと最後の写真撮影のくだりは納得いくものになっていたのではないかと思いました。

 

細かいところではせっかく店長が“なぜキムタ屋を目指しているのか”ということを考えだしたのに、それが割と軽めに流されてしまったのも個人的には不満ポイントでした。

 

◆まとめ

・最後の展開に不満

・今作の肝である亜希子とみゆきの関係性があまり描かれない